はじめに

カスタマーコミュニケーション管理(CCM)ソフトウェアは、30年前に印刷物のトランザクションを主目的としたテクノロジーとして登場しました。今日の最先端の CCM テクノロジーは、モバイル、メール、SMS、ウェブページ、ソーシャルメディア、印刷物などの幅広いチャネルを通じ、請求書、契約書、顧客向け通信物などのカスタマーコミュニケーションを設計、管理、配信するための一元化されたハブとして機能します。

カスタマーコミュニケーション管理ソフトウェアを使用する利点とは?

ここ数年、コミュニケーションチャネルが多様化するようになり、カスタマーコミュニケーションは急速に変化しています。今日の顧客は、選択したデバイス経由でオンデマンドでアクセスできる、パーソナライズされた関連性の高いコミュニケーションを期待しています。こうした高い期待に応えるには、どんな規模の企業でも CCM が必要です。

CCM ソフトを利用するメリットには以下のようなものがあります。

  • インテリジェントなワークフローで顧客とのコミュニケーションを速やかに変革
  • ビジネスユーザーによるひと中心のコンテンツの管理を支援
  • 「その場ですぐに」のコミュニケーションを安全かつ確実に提供
  • CCM をコアシステムと統合して顧客データを活用することで高度にパーソナライズされたコミュニケーションを作成
  • 顧客の好みに合わせてエンゲージメントのためのチャネルを拡大

ビジネスに最適なカスタマーコミュニケーション管理ソフトウェアの選び方

今日の企業にとって、顧客とのエンゲージメントの必要性は最重要課題です。しかし、多くの組織には、顧客の体験に効果的に関わり、追跡するために必要となる適切なツールがないのが実情です。市場には非常に多数の最新 CCM ツールが存在するため、カスタマーエクスペリエンス向上のために、どのソリューションが自社に最適かを判断するのが難しい場合もあります。

間違った選択をすることで及ぶ悪影響を恐れるばかりに、選択自体を放棄し、組織と各事業部門が、手持ちのツールで間に合わせることになる場合もよくあります。

こうした状況は、適切なソリューションを選ぶための戦略的アプローチを取ることで防げます。慎重な計画と詳細な要件収集、方向性の定まった組織と経営幹部の支援で推進されるチームがあれば、企業は適切なソリューションを選択し、うまく実装することができます。

カスタマーエクスペリエンスとエンゲージメントへの影響

カスタマーエクスペリエンスは、カスタマーコミュニケーションの主要なトレンドであり、新しいソリューションに投資する企業にとっての推進要因となっています。また、大規模な変更と一貫したカスタマーエクスペリエンスの実践を容易にするため、多くの企業がコミュニケーションを一括管理するために単一のプラットフォームの導入を選択しています。 

もう1つの重要なトレンドにエンゲージメントがあり、これは、顧客がそうしたコミュニケーションを行いたいという欲求にまで体験を広げるものです。リンクのクリック、QR コードのスキャン、動画視聴やクリック可能なグラフなどのインタラクティブなコンテンツの活用、もしくは単に支払いニーズへのタイムリーな対応など、コミュニケーションは発信と受信の双方向から考える必要があります。

そのため、新たに CCM に投資する際に最適な顧客エンゲージメントを確保するためには、次の2つの点を考慮する必要があります。

  1. どのようにカスタマーエクスペリエンスを改善し、エンゲージメントなどの目標を達成する効果を最終的に高められるか?
  2. 選定や実装プロセス中に、カスタマーエクスペリエンスの中断や悪影響を防ぐにはどうすべきか?

新しいソリューションの要件を理解すれば、コミュニケーション改善のために他にどのような機会があるかという問いが生じてくるはずです。例えば、既存のアプリケーションを新しいプラットフォームに移行する必要がある場合、オムニチャネル配信の準備をしつつ、使いやすく更新された外観を通じてこうしたコミュニケーションを再設計するのが理想的です。

将来を見据えたコミュニケーション

企業が CCM テクノロジーを選択する際の1つの共通の目標は、将来にわたって応用できるコミュニケーションを実現するということです。すべてのトレンドや機能強化が予測可能ではありませんが、コミュニケーションにおけるイノベーションを積極的に追いかけている技術パートナーを選択すれば、使用するソフトウェアは、実装の準備ができた時点ですでに機能を備えている可能性が高まります。これを評価の基準とすべきです。カスタマーコミュニケーションの中で起こったあらゆる変化を踏まえれば、今こそ既存のテクノロジーを評価する良い機会といえます。

新しい CCM ソリューションへの移行の場合、他の変化の機会を評価することが有益です。CCM プラットフォームの中には既存のテンプレートをオムニチャネルコミュニケーションに自動変換できるものもありますが、新しいプラットフォームへ移行する際には、既存のコミュニケーションを新しいソリューションのフォーマットに作り直さねばならない場合があります。これは、オムニチャネル体験を通じて確実な配信を行いながら、読みやすさ、エンゲージメントと体験を向上させる新機能や拡張機能を検討する上で理想的なタイミングと言えます。

導入を始める前に

新しい CCM テクノロジーへの投資を決定したら、要件収集とソフトウェアの選択プロセスを開始する前に、いくつか考慮すべき事項があります。

適切なフレームワークを最初に決めておくことで、組織とともに成長するソリューションを見つけられる可能性が高まります。プラットフォームを拡張し、実証可能な方法で段階的に機能を強化して常に先端を行くベンダーの傾向を把握します。営業担当者の言葉だけを鵜呑みにしないようにしましょう。

経営陣の支持を獲得

経営陣からの適切な支援が得られず、組織内での連携が不足していると、テクノロジーの導入に遅れが生じる場合があります。コミュニケーション管理のための新しいプラットフォームの導入が遅れないようにするためには、組織全体のコミュニケーションニーズと文化的影響を理解することが鍵となります。

こうした多額の投資には、一般的には調達と予算の割り当て以上の対応が必要となります。この分野の専門家でなく、カスタマーコミュニケーションに関与していないとしても、経営陣の誰を巻き込むべきかを把握する必要があります。

計画実施の遅延を防ぐには、こうした投資にどの役員の承認が必要かを確実に理解し、財政的支援を得ることが重要です。また、ソリューション購入後にも経営陣の支援が引き続き必要です。組織全体で実装が成功するよう、遅延の可能性を考慮する必要があります。

選定プロセスの管理

CCM ソリューションを選択する際に犯しがちな間違いに、要件収集と選定のプロセスにすべての利害関係者を含められないことが挙げられます。制作プロセスに関与するさまざまな役割を理解することで、すべての関係者のニーズに配慮した上で、適切な対応ができるソリューションを見つけることができます。

関与すべきメンバーとしては、IT部門、事業部門のマネージャーや調達部門のメンバーがまず挙げられます。しかし、以下のようなステークホルダーにも関与してもらう必要があります。

  • 法務・コンプライアンス担当者
  • 財務
  • マーケティングマネージャー
  • ビジネスアナリスト
  • 出力管理を担当する制作スタッフ
  • コミュニケーションに含まれるコンテンツや、これらのコミュニケーションの配信の提供やレビューを担当するその他の利害関係者

こうした利害関係者のグループが最終的に運営委員会として取り組みを推進することになります。

シングルプラットフォームか「ベスト・オブ・ブリード」のテクノロジーか?

カスタマーコミュニケーション管理への投資を検討する際、ほとんどの企業は次の2つのルートのいずれかを選択しています。

シングルソフトウェアプラットフォーム : すべての事業部門がコミュニケーションの出力と配信に使用すべき単一の CCM ソリューションを指し、最新の CCM ソリューションには、カスタマーコミュニケーションワークフローの各ステップの管理を目的に設計されたモジュールやコンポーネントが備わっています。

各分野の最良のソリューションの組み合わせ : 特定のワークフローや出力に対して「ベスト・オブ・ブリード」ソリューションとして選択した複数のソリューションを一般的に社内 IT チームが統合し、管理していくものを指し、大量のバッチ出力用に1つの組版ツールを選択し、請求や通信物などの対話型コミュニケーション管理には別の構成ツールを使用することがよく見られます。
 

IT 部門がコミュニケーションハブに統合すべき個別のソリューションを選択することには、リスクが伴い、時間がかかりますが、多くの組織では最新の CCM プラットフォームが提供する機能範囲を完全に把握していないため、こうした方法が採用されています。

実装後の戦略

ソリューションの決定後、実装をどのように管理すべきかは見落とされがちです。IT 部門が深く関与するのは当然ですが、ソリューションに関する目標すべてを確実に達成できるよう、IT 部門以外の人 (理想的にはプロジェクト管理スキルと実装経験のある方) にも関わってもらいましょう。こうした役割には、ボトルネックや不要な遅延を指摘する権限がある人を選定します。

成功を確実にするには、実装と移行の経験が豊富なベンダーを選ぶことも大切です。ソリューションを効果的・効率的に実装し、既存のシステムと適切に統合するには、実装中のベンダーの関与とサポートが鍵となります。

公開された導入事例や現在の顧客からの声を確認して、そのベンダーに関する他の顧客の体験と、実装中に発生した思いがけない点を把握しておきます。リソースのギャップを埋めるため、ベンダーのサポート体制とプロフェッショナルサービスの提供状況を確かめ、活用できる専門知識と経験を理解しておきましょう。

ソリューションは迅速かつ完全に導入し、すべてのアプリケーション移行に必要なリソースを割り当てることが不可欠です。プロジェクトを完遂しようとする関心やコミットメントが失われてしまうと、実装が失敗に終わることがよくあります。他の施策や優先順位の変更によって遅延が起こり、複数の統合されたツールとビジネスルールで混乱した元の状態に戻ることになりかねません。

こうした導入を確実に完遂するには、現実的なタイムラインでプロジェクトを完了できるよう、リソースを投入するしかありません。既存のエンタープライズアプリケーションの移行時間を正確に評価しておくことが重要です。

 

Quadient、IDC MarketsScape Cloudカスタマーコミュニケーション部門のリーダーに選出

Quadient は、「IDC MarketScape : Worldwide Cloud Customer Communications Management Applications 2022 Vendor Assessment」でリーダーに選出されました。

マーケットインテリジェンスの世界的なプロバイダーである International Data Corporation(IDC)は、CCM ソフトウェア市場の包括的な評価を実施し、企業が情報に基づいた購入決定を下せるように支援を行っています。

今年の評価では、市場でカスタマーエクスペリエンス支援のために構築されたクラウドソリューションのみに焦点を当てて、より絞り込んだ調査を行っています。レポート『IDC MarketScape: Worldwide Cloud Customer Communications Management Applications 2022 Vendor Assessment—Dynamic Delivery of Multichannel Personalized Experiences』では、クラウド CCM ベンダーの強みと課題、市場でのポジショニングについて、相互比較に基づく詳細な情報を提供しています。

レポートには以下のような内容が含まれます。

•    IDC が Quadient をリーダーに選出した理由と認められた当社の3つの強み
•    各ベンダーの現在の能力と今後の戦略スコア
•    クラウド CCM ソフトウェアソリューション選択時に考慮すべき重要な基準
•    市場における短期的・長期的な成功に最も影響する要素
•    CCM ソフトウェアがカスタマーエクスペリエンス強化に不可欠な理由

Quadient が CCM の世界的なリーダーである理由を確認するには、以下のページから無料レポートをダウンロードしてください。https://www.quadient.com/en/resources/idc-marketscape-worldwide-cloud-ccm-applications-2022-assessment

 

結論

新たな CCM 技術への投資は簡単なことではありませんが、早い段階で適切な計画とサポートを行うことで、成功を収めることができます。成功を確実にするには、影響力のある経営陣の支持を得ることが重要です。要件文書に反映すべきニーズ評価を徹底的に行うことも、現在と将来のニーズを満たすソリューションを見つけるには不可欠です。そして最後に、適切なソリューションを見つけるため、企業として厳格な評価と選定プロセスを実行する必要があります。

CCM インフラストラクチャ導入を成功させるには、適切なソリューションを見つけるだけでは不十分です。

長期的な成功を実現するためには、アプリケーションの実装と新しいシステムへの移行に関する検討、サポートと尽力が不可欠です。

FAQ

お問い合わせ