はじめに
カスタマージャーニーはそれぞれにユニークで、企業ごとに独自のカスタマーエクスペリエンス(CX)目標があるため、どの企業にも合うカスタマージャーニーマップはありません。自社にどのようなカスタマージャーニーマップが適しているかは、顧客、販売する製品とサービス、チーム、CX 面での目標によって異なります。
カスタマージャーニーマップの例が役立つ理由
自社に関するカスタマーエクスペリエンスの問題点を視覚化できるカスタマージャーニーマップを作成するには、時間とリソースをかける必要があります。しかし、ジャーニーマッピングを開始するのは容易ではありません。こうした場合には、例となるカスタマージャーニーマップをサンプルとして使ってみましょう。
カスタマージャーニーマップの例は、事業目標を達成し、最高のユーザーエクスペリエンスを提供するためにマップを作成する最良の方法を決定するのに役立ちます。
カスタマージャーニーマップの種類
カスタマージャーニーマップにはいくつかの種類があります。この記事では、一般的な3つのタイプについて説明し、Quadient の Inspire Journey で作成した例をそれぞれ紹介します。
現在の状態のカスタマージャーニーマップ
現在の状態のジャーニーマップは、現時点での顧客の体験と自社とのやり取りに対する認識を、データに基づいて視覚的に表現したものです。正確なマップを作成するには、実際の顧客との現在のやり取りに関連するデータを収集する必要があります。
こうしたジャーニーマップは、最初から最後までの顧客と自社とのやり取りにおける摩擦やネガティブな体験が生じるポイントを理解するのに役立ちます。プロセスの目標は、顧客の実体験を視覚化し、顧客の視点を理解して、顧客のニーズと要望をよりよく満たす変更を実装する機会を特定することです。
現在の状態のジャーニーマップの例(保険会社の潜在顧客向け):
現在のタッチポイントを販売にマッピングし、ジャーニーからの離脱の理由を特定することで、潜在顧客が自社をどのように体験しているかを学びます。このマップには、顧客が受けるコミュニケーションと、ジャーニーの各段階で顧客が体験する感情が含まれていることにも注意してください。
将来の状態のカスタマージャーニーマップ
将来の状態のジャーニーマップは、自社との顧客の体験の概要を将来あるべき姿として概説したものです。このマップでは、共有されたビジョンに基づきチームを調整するため理想の形で、潜在顧客や既存顧客に体験してもらいたいジャーニーの概要を示します。将来の状態のマップを作成する際は、データよりも創造性と革新性が重要となります。
将来の状態のカスタマージャーニーマップは、考えうる顧客の期待を調査し、それらを満たすための体験設計の機会を特定するのに役立ちます。
将来の状態のカスタマージャーニーマップの例 :
将来の状態のマップを使えば、顧客がどこにいるのか、どこに導く必要があるのかを簡単に比較できます。このマップでは、モバイルアプリで完了できるシンプルかつエンドツーエンドのアプリケーションプロセスを想定しています。
顧客のある1日のジャーニーマップ
顧客のある1日のジャーニーマップは、自社製品やサービスに関係のない活動を含めた顧客の1日全体を視覚化したものです。このようなマップは、顧客が毎日何をし、考え、感じているかをより詳細に把握する上で役立ちます。
顧客のある1日のジャーニーマップは、顧客自身も気づいていない、顧客の満たされていないニーズを特定する上で有用です。
顧客のある1日のジャーニーマップの例(小児医療の CX):
行動をマッピングし、体験を改善するための提案を生成することで、顧客が実際にある1日をどのように体験するかを探ります。このマップは、子供の体験だけでなく親の体験も含めて視覚化するものです。チームがジャーニーのさまざまな段階で患者の感情に対処するためのソリューションを提案するのに役立つところに注目してください。
クラウドベースのソフトウェアでカスタマージャーニーマッピングを簡素化
クラウドベースのジャーニーマッピングツールを使用すると、顧客のジャーニーを段階的に視覚化し、卓越したカスタマーエクスペリエンスを実現するための実用的な洞察を得ることができます。
柔軟なカスタマージャーニーマッピングソリューションでは、使い方によりさまざまな重要な洞察が得られ、複数のカスタマイズ可能なマップを作成することもできます。
以下のような重要な機能が含まれるジャーニーマッピングソリューションを選びましょう。
実情を映すリアルな顧客ダッシュボードで共感を深化
包括的な視覚化ですべての従業員が顧客と同じようにジャーニーを体験し、ライフサイクルの各タッチポイントを全体マップにリンクすることができます。最先端のコラボレーション設計と動的マッピングツールで、全社でリモートでのコラボレーションとフィードバックが可能になります。
- 主要なペルソナの重要なカスタマージャーニーをすばやくマッピングし、KPI を埋め込んで感情を結び付ける
- 実情を映したリアルなダッシュボードでエンドツーエンドのカスタマージャーニーを把握
- コラボレーション・フィードバックツールで効率的なリモートワークフローを作成
科学的な洞察にデータを活用
すべてのデータをマップに直接統合するジャーニーマッピングソリューションを選択すれば、意見ではなく事実を活用して、カスタマージャーニーを理解するための情報を組織全体に提供することができます。
- すべてのインタラクションポイントに動的に接続してペルソナの抱える問題点と利益を正確に洞察し、すべてのチャネルにわたってリアルタイムで KPI を追加して価値を測定
- 実際の顧客データを使用して専門家の意見を強化することにより科学的な視点から CX を実践
適切なタイミングで適切なアクションを特定
クラウドベースのジャーニーマッピングツールを使用すると、重要なタッチポイントを特定し、変革戦略で最も影響力のある改善に優先順位を付け、ROI を最大化することができます。
- 本当に重要なタスクやプロジェクトを可視化して優先順位を付ける
- リアルタイムで摩擦を排除し、すべての重要なタッチポイントで CX を強化
- インタラクティブなツールで問題点を特定して修正し、測定可能な成果を提示
コミュニケーションで価値を促進
Inspire Flex および Inspire Evolve と統合された Quadient の Inspire Journey は、カスタマーコミュニケーションを変革するアクションを洞察と結び付け、卓越したオムニチャネルエクスペリエンスの作成と提供を最適化します。
Inspire Journey は、顧客とのコミュニケーションのタッチポイントを統合する、アナリストも認める唯一のカスタマージャーニー管理ソリューションとして、カスタマーコミュニケーションがビジネスに与える影響について比類ない洞察を与え、CX の変革を促進します。
Hilti、Quadient のカスタマージャーニーマッピングの活用で卓越したカスタマーエクスペリエンスを実現
Quadient 顧客企業の Hilti は、解体および建設技術の世界的リーダーです。約25万人の顧客と日々直接連絡を取り合う同社では、デジタルと物理的なやり取りを完全に最適化するため、カスタマーエクスペリエンスを適切に理解するプロセスを必要としていました。同社の CX チームは、カスタマージャーニーマッピングを通じて将来のカスタマーエクスペリエンスの青写真を定義する作業に着手しました。
Hilti では、Quadient Customer Journey Mapping(CJM)を採用して詳細なカスタマージャーニーマップを作成し、適切なコミュニケーションをあらゆるタッチポイントにつなげることで、ジャーニーに伴う問題点を見出しました。複数の部門がバーチャルで協業しながら、カスタマーエクスペリエンス向上のための措置を講じることができています。
同社 CX チームのカスタマーエクスペリエンスマネージャーは、Quadient Customer Journey Mapping を定期的に使用しています。複数のグローバル部門のビジネスユーザーとのリモートでのコラボレーションを通じ、チームは1,000を超えるインタラクションポイントをカバーする最も重要なカスタマージャーニーをマッピングすることができました。CX チームはバーチャル CX ワークショップ中に問題点を発見して図式化しました。CX プロジェクトの最初のフェーズでは、Hilti のカスタマーエクスペリエンスを向上させる上で最も重要な CX タスクに優先順位を付けることができました。
詳細についてはケーススタディ全文をダウンロードしてください。